埼玉県越谷市で 内科一般診療および呼吸器内科・アレルギーの専門診療を行っている診療所です。

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診療案内

呼吸器内科
こんなときは
熱がある | たんが出る | 咳き込む | 長引く咳 | 胸の痛み | 息苦しい | 息切れ | だるい | 禁煙したい
  • 生活習慣病(高血圧症、糖尿病、脂質異常症、等)
  • 感染症(かぜ症候群、肺炎、尿路感染症 等)
  • 各種検査(血液検査、尿検査、胸部エックス線検査、心電図、肺機能検査 等)
  • 禁煙治療(要件を満たしていれば、当院で健康保険を適応した治療が受けられます)
  • 各種予防接種(インフルエンザワクチン、成人用肺炎球菌ワクチン 等)

COPDについて
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1. COPDとは

COPDは主にタバコが原因で肺に炎症が起こり、空気の通り道である気道が狭くなる病気で、患者さんの90%以上に喫煙歴があるので、別名「タバコ肺」とも呼ばれています。

40歳以上の約10人に1人がこの病気になると推定されており、全国には500万人以上の患者さんがいるはずですが、実際にCOPDと診断されているのは約22万人で、多くの方々がCOPDであることを見過ごされています。


2. 症状

「体を動かしたときに息切れがする」、「咳や痰が続く」というのがCOPDの代表的な症状で、それぞれ年齢や風邪のせいと誤解されがちですが、40歳以上でタバコを吸っている、あるいは吸っていた方でこのような症状がある場合はCOPDの可能性があります。


3. どれだけタバコを吸うとかかるの?

個人差がありますが目安として「1日に吸うタバコの箱数(1箱20本)×喫煙している年数」が60以上の方の約70%がCOPDという報告があり、例えば2箱を30年以上吸っているとこれに該当します。


4. 肺の中では、なにが起きているの?

肺胞(はいほう)とは肺の中で、吸い込んだ酸素と体内の炭酸ガスとをガス交換をする場所です。COPDでは、この肺胞が炎症で破壊されたり、肺胞まで空気を送り届ける気道が炎症でむくんだり痰で詰まったりすることで、呼吸がしにくくなっているとされています。


5. 治療するには

いったん破壊された肺胞は元には戻らないと考えられているため、以前はCOPDには治療法がないとされていましたが、最近では早くに治療を開始すれば、肺機能の低下を緩やかにして良好な状態を長く保つことができると考えられています。

禁煙は肺機能の低下を抑制し、死亡率を減少させることがはっきりしているため、治療の第一歩はもちろんタバコをやめることですが、気道を広げて呼吸機能を改善する薬物療法、症状の急な悪化を予防する各種ワクチン接種、COPD悪化の原因になる肥満や痩せを改善させるための栄養指導、身体活動性の向上と維持を目的とした運動療法などが行われています。


6. 診断

COPDの診断には、肺機能検査で息を吐く力が弱くなっていることの確認と、似た症状を起こす別の病気がないことをエックス線検査や心電図検査、血液検査などで調べることが必要です。40歳以上のタバコを吸われる方で、動いたときに息切れがしたり、咳・痰が続く場合は当院にご相談ください。


禁煙の必要性とその方法
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1. 喫煙の現状と対策

たばこ産業の「2015年全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男性の平均喫煙率は31.3%でした。 これは、昭和40年以降のピーク時(昭和41年)の 83.7%と比較すると、48年間で52ポイント減少、成人女性の平均喫煙率は9.6%であり、ピーク時(昭和41年)からの7ポイント減少しています。


2. 健康日本 21(第二次)における喫煙対策

平成25年度から開始された「健康日本21(第二次)」では、国の社会保障制度が破綻せず、持続可能なものとなるようにするためにも、国民の健康の増進の総合的な推進を図ることを目指しています。

喫煙は、がん、循環器疾患、糖尿病、COPDといった生活習慣病の「予防可能な」最大の危険因子であるほか、低出生体重児の増加の一つの要因であり、受動喫煙も様々な疾病の原因となるため、喫煙による健康被害を回避することが重要です。

国は、受動喫煙防止対策、禁煙希望者に対する禁煙支援、未成年者の喫煙防止対策、たばこの健康影響や禁煙についての教育、普及啓発等に取り組んでいます。


3. 喫煙による成人死亡

生活習慣(病)による成人死亡の主要な2つの決定因子は喫煙と高血圧です。日本では、現在、能動喫煙(能動喫煙〈のうどうきつえん〉とは自ら喫煙することです)によって年間12-13万人が死亡していると推定されています。

能動喫煙によって、がん死亡7.7万人、循環器疾患死亡3.3万人、呼吸器系疾患死亡1.8万人で、合計12.9万人が死亡しており、この値は年間の全死亡者数の約1割に相当すると推定されています。喫煙による推定死亡者数に匹敵する危険因子は高血圧のみであり、喫煙と高血圧が日本人の死亡に大きく寄与していることが示されています。


4. 「ニコチン依存症」という病気

禁煙しようとしてもなかなかできないのは、「ニコチン依存症」という薬物依存があるからです。これには身体的依存と心理的依存の両方があります。喫煙は嗜好や趣味の問題ではなく、喫煙病(依存症+喫煙関連疾患)という病気なのだという考え方です。

喫煙はやめようとしてもやめることのできない依存症ですから、「喫煙は病気、喫煙者は患者」と認識し、他の生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症、COPD)と同じように、気軽に、かつ積極的に治療を受けることが大切です。周囲の方の病気への理解や治療の勧めも、禁煙治療を後押しします。


5.健康保険等で禁煙治療を受けるには

禁煙治療に健康保険等を適用するために必要なことは以下のとおりです。

まずは健康保険等が適用される「禁煙治療を受けるための要件」4点を満たしていること。

4つの要件とは、

  • ニコチン依存症を診断するテストで5点以上
  • 1日の平均喫煙本数×これまでの喫煙年数=200以上
  • 1ヵ月以内に禁煙を始めたいと思っていること
  • 禁煙治療を受けることに文書で同意していること。問診票などに、日付や自分の氏名を書きます。

※ 最終的なニコチン依存症の診断は医師が行います。健康保険等の適用が可能かどうかは別途確認して下さい。

なお、前回の治療の初回診療日から1年経過していること、健康保険等で禁煙治療が受けられる医療機関、いわゆる禁煙外来、を受診すること、も条件となります。過去に健康保険等で禁煙治療を受けたことのある方の場合、前回の治療の初回診察日から1年経過しないうちは、自由診療となります。


6.チャンピックスについて

当院では主にチャンピックスという禁煙のための飲み薬を処方しています。

タバコを吸うと、脳にあるニコチン受容体という部分にニコチンが結合して、快感を生じさせる物質(ドパミン)を放出させます。

チャンピックスは、この受容体に先回りして結合することで、ニコチンの場合より少量のドパミンを放出させて、イライラなどのニコチン切れ症状を軽くします。

また、ニコチンが受容体に結合するのを邪魔して、禁煙中に一服してしまったときの“おいしい”といった満足感を感じにくくすることにより、禁煙を助ける薬です。


7.禁煙治療の禁煙成功率

禁煙治療は12週間が基本です。12週間の禁煙治療は、医師に相談なく中断しないことが大切です。自分の力だけで禁煙できると考えて治療を中断すると、医師のアドバイスや薬の処方が受けられなくなるため、禁煙は失敗しやすくなります。

初回の治療を受けただけで中断した人では、禁煙を続けているのはわずか6.5%ですが、12週最後まで受診した人では49.1%と7.5倍に増加し、2人に1人が禁煙していました。


8.禁煙の効果

実は、最後にたばこを吸って、1時間もたたないうちから、体は反応を始めています。20分後には血圧が、最後のタバコを吸う前のレベルに戻ります。8時間経つと血中の一酸化炭素レベルが正常に戻ります。24時間後には“心臓発作”のリスクが減ります。3か月以内に循環器系が改善し、肺機能が30%程度増加します。1-9か月以内に咳、鼻づまり、疲労、息切れが減少します。絨毛(じゅうもう)、これは小さな毛のようなもので肺の外へ粘液を動かすものですが、これが、正常機能を回復し、粘液を動かし、肺をきれいにし、感染を防止する能力が増加します。1年後には冠動脈疾患、心臓病のリスクが喫煙者の半分になります。5年後には脳卒中のリスクが、非喫煙者のレベルまで下がります。10年後には、肺がんの死亡率が、吸い続ける方の約半分になります。口腔、喉頭、食道、膀胱、腎臓、膵臓、それぞれのがんのリスクが減ります。15年後には冠動脈疾患のリスクが非喫煙者のレベルまで下がります。がん、循環器疾患、呼吸器疾患、それぞれについての禁煙の効果が、さまざまな時間レベルで、さまざまな反応としているのです。

止まらない咳について
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1. 咳の分類

咳は持続期間により、3週間未満の急性咳嗽(きゅうせいがいそう=急性の咳)、3週間以上8週間未満の遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう=長引いている咳)、8週間以上の慢性咳嗽(まんせいがいそう=慢性の咳)に分類されます。このような分類を設けることにより、咳の原因がある程度推定できます。急性咳嗽の原因の多くは感冒を含む気道の感染症であり、持続期間が長くなるにつれ感染症の頻度は低下し、慢性咳嗽においては感染症そのものが原因となることは稀です。


2. 咳の原因

急性の咳の原因は多岐にわたりますが、診療所で遭遇する頻度が最も高いのはウイルス性の普通感冒です。遷延性咳嗽や慢性咳嗽の原因疾患は報告によりかなり異なります。

欧米で胸部エックス線写真と胸部聴診所見で正常とみなされた成人慢性咳嗽の原因として頻度が高いとされてきた咳喘息、胃食道逆流(逆流性食道炎)、後鼻漏(鼻水が喉に流れてくる状態)のうち、後2者の頻度は日本では必ずしも高くありません。一方、咳喘息は欧米と日本に共通する頻度の高い成人慢性咳嗽の原因です。


3. 咳の診療で最初に行うこと

咳は、ほぼ全ての呼吸器疾患が原因になり得ます。肺炎、肺がん、肺結核など重症化する可能性のある疾患がないか、1~2週間以上持続する咳の患者さんではまず胸部エックス線写真を撮影します。発熱、息苦しさ、血痰、胸痛、体重減少など問診をします。血液検査の炎症反応やSpO2(酸素飽和度=動脈血のなかにどの程度の酸素が含まれているか示す指標)なども参考にします。

また喘息の可能性がないかも確認します。喘鳴(ぜんめい=ゼイゼイ)があれば喘息の可能性が高いのですが、心不全、COPDなど似たような症状をきたす疾患の除外も必要です。


4. 咳の治療

咳の原因はさまざまです。遷延性咳嗽、慢性咳嗽では、先にあげた咳喘息、胃食道逆流、後鼻漏のほかにもアトピー咳嗽、感染後咳嗽、慢性気管支炎、ある種の薬剤による咳などがあります。そのため治療も気管支拡張薬、胃酸を抑える薬、副鼻腔炎の炎症を抑える薬、抗ヒスタミン薬、禁煙、薬剤処方医と中止や変更の相談等が考えられます。まず病歴と検査結果に基づく治療前診断に対する治療を行います。それが功を奏して診断が確定します。これを治療後診断といいます。診断が確定したら導入療法に続いて維持療法へと移行します。

診療所での診断・治療で、原因が判明しなかったり、治療が無効な場合は中核病院に紹介し、胸部CT検査や、精密な肺機能検査、気管支鏡検査を行うこともあります。

肺炎について
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1. 肺炎の分類

肺炎は、入院後に発症する「院内肺炎」、介護を受けている高齢者に起こる「医療・介護関連 肺炎」、それ以外の一般には社会生活を営む健常人に発症する「市中肺炎」の3つに分類されます。ここでは「市中肺炎」について概説します。


2. 症状

自他覚症状としては、咳、痰、胸痛、呼吸困難などの局所症状(肺炎に特徴的な症状)があり、その他、発熱や全身のだるさなどの全身症状(肺炎に限らず強い炎症では起こる症状)で急性に発症します。ただし、高齢者では症状が目立たないでない場合があります。


3. 診断

来院された患者さんで肺炎を疑った場合は、年齢や、もともとの病気がないかなどの背景因子を把握した後、上記の症状の確認、呼吸数・脈拍・血圧等の測定、診察を行い、胸部エックス線写真や血液検査を行い肺炎と診断します。


4. 原因微生物

肺炎は原因微生物により「細菌性肺炎」、「非定型肺炎」に分類され、「細菌性肺炎」では肺炎球菌、インフルエンザ菌(インフルエンザ「ウイルス」とは異なる「細菌」です)、モラクセラ・カタラーリスが、「非定型肺炎」はマイコプラズマ、肺炎クラミドフィラ、レジオネラが主な原因微生物となります。


5. 重症度と入院の必要性の判断

肺炎はその後の経過を予測するために、年齢、脱水の有無、低酸素状態の有無、意識障害の有無、血圧の5つの指標で重症度を判断します。軽症か中等症で、生活状況などから入院の必要がないと判断されれば外来治療を行います。


6. 治療

治療は適正な抗菌薬による治療に加え、安静や保温といった環境整備、脱水の補正、栄養の管理が重要です。